2022.12.01
栄養価と食感の違いのコントラスト。
この二つの観点から、ラグタイムでは玄米1:白米5 の割合でご飯を炊いております。
先日、精米機を所有・活用しておられる方のお宅でご飯をご馳走になる機会があり、あまりの美味しさに感激し、もちろん米の内容や炊き方等、様々な要因があるとは思いましたが、ラグタイムでも精米機を導入することにいたしました。
これまでは「あきたこまち」を玄米と白米、それぞれ仕入れておりましたが、現在は玄米の仕入れ一本に絞っております。
これにより、生鮮食品であるお米の回転率も上がるだけでなく、当日精米したてのお米を、酸化が進む前にご提供できるようになりました。
見た目的にはあまり大きな変化ではありませんが、「食事をする」ことを「ご飯を食べる」と呼ぶ日本人にとって重大な進化であると確信しております。
最近の精米機には「分づき米」等の様々な機能も付いておりますし、米の品種や水加減等、試行錯誤を繰り返しながら新たなチャレンジもしていきたいと考えます。
現在は、精米の過程で発生する副産物である「米糠」を活用した「糠漬け」に挑戦中です。
2022.11.01
5月。
まだ肌寒い陽気の、信州夜間瀬のりんご畑を訪れました。
初めて見る、満開の真っ白なりんごの花園の景色でした。
1月に故人となられたその畑の主人が、「よく来たなあ。」と、歓迎してくれているような青空の下、ご家族と一緒に『摘花』のお手伝いをさせていただきました。
その時の紅玉が、10月に届きました。
箱を開け、真紅のりんご達を見た時は、胸がいっぱいになりました。
終わりの様に思っていましたが、ご家族に引き継がれたりんご達との、新しいお付き合いの始まり
でした。
自分が種を蒔き、手をかけた果実を、自分がこの世を去った後にも人々が受け取れる。
素敵な生き方のお手本です。
朝晩が冷え込む頃になってくると、故人がご自宅の薪ストーブに、りんごの枝を焚べていたことを思い出します。
今年から、ラグタイムにも電気式ではありますが、薪ストーブを灯しております。
2022.11.01
※「かながわペイ」は予算上限に達したためポイントの付与は終了となりました。ご了承下さい。
ポイントのご利用は引き続き来年の1/31まで可能です。
※「川崎じもと応援券」は本日より増枠が開始されました。こちらもご利用ください。
2022.10.01
まだまだ日中は残暑が厳しいですが、今日から10月です。
地元の直売所には、「椎茸」や「雪茸」などの地場の茸が並びはじめ、サラダやスープに
滋味と共に秋の香を添えてくれています。
恒例、ラグタイムオリジナルカレンダー 2023 が完成いたしました。
今年一年の感謝を込めまして、本日10/1より 500個限定で、ご来店のお客様に一世帯あたり一つ
お渡しいたします。
ご予約、ご来店をお待ちしております。
2022.09.01
少し涼しくなったかと思えば、また暑さがぶり返しました。
こうして少しずつ季節は秋へと移ろっていくようです。気がつけば、店の前の線路の敷地のすすきが穂を出し始めています。
秋です!「食欲の秋」です!
「本当に美味しいものは何なのか?」との問いを追求するのが私共の仕事ですが、今のところたどり着いておりますのは、「身体がよろこぶ物」・「身体が美味しいと感じる物」であるとの考えです。
しかし、この場合考えなければならないのは「身体が喜ぶもの」と「脳が喜ぶもの」が必ずしもイコールではないということです。
例えば風呂上がりのビールです。(私も大好きですが)火照った体に喉越しのよい冷えたビールは、さぞかし美味しそうなイメージではありますが、これで喜ぶのは脳であって、入浴という行為は思っている以上に身体の水分を奪うので、この場合身体が本当に欲しがっていて喜ぶものは「水」です。
ビールに含まれるアルコールには食欲を増進させる効能があり、ホップには安眠を促進させる効能がありますので、むしろビールが身体に喜ばれるのは、食前や就寝前と考えることができます。
このように様々な「思い込み等を排除」して本当に素直に「身体が美味しいと感じる物」は何かを考えることが重要だと考えています。
例えば「お腹はすいてないけど、これは前に食べて美味しいの知ってる、とても高価なものだし食べよう」や「せっかく大変な思いして作ったんだから、残すのもったいない。お行儀悪いし、後片付けが楽だから食べきっちゃおう」「食欲ないけど、御飯の時間だから」等は明らかに「脳」が求めているものです。
一般的な日本の食習慣の中で夕飯によく食されるメニューは、炭水化物に過度に偏っていて、蛋白質が不足していると思われます。これから活動しようという午前中には、エネルギーとしての炭水化物はもちろん必要なので身体が求める栄養素ですが、一日の活動を終えた後の夕食時に必要なのは、筋肉だけでなく皮膚や内蔵、爪、髪の毛に至るまで多くの部位を構成する要素であるところの蛋白質です。一日の終りには「火を落としたかまどに薪をくべる」のではなく、美味しい蛋白質を食べて「リペア」をすることを身体は求めています。
人間は非常に脳が発達しているため難しいことですが、「何かを我慢する」ということではなく、「脳ではなく、身体が今求めているものが何なのか」を見極めることが大変重要であると考えております。
これらを踏まえた構成のお料理をお出しできるよう、心がけてまいります。
2022.08.01
うだるような暑さが続いておりますが、食欲が減退しがちなこの時期にパッと作れる丼ものをご紹介します。
賄いでも食しますし、場合によってはコースに組み込むこともあります。
(1)小間肉 100gは室温に戻しておきます。黒毛和牛である必要はありません。豚肉でも美味しいと思いますが、いずれにしても「ロース」「肩ロース」「バラ」等の脂の強い部位が適しています。
(2)今が旬の「胡瓜」80gを「冷やし中華」風に千切りにします。
(3)新ものが落ち着き出してきているものの、まだみずみずしさの残る「玉葱」70gを繊維に沿って、可能な限り薄くスライスして、軽く塩をしてから氷水にさらして辛味を抜いた上で、ザルに上げ水気を切ります。(辛味が気になるようなら絞ってもいいかもしれません。)
(4)丼にご飯を適量盛り、その上に玉葱をどっさりと盛りながら、急いでフライパンを火にかけます。
(5)熱したフライパンに脂を敷かずに小間肉を乗せ、焼色がついたら、きび砂糖5gを回しかけ、カラメル化させます。
(6)すかさず酒30ml、醤油10mlを振り入れ軽く煮たら玉葱の上に盛り付けます。
(7)丼の縁に沿って、青みを目立たせるように胡瓜を飾り、お好みで「いりごま」「紅生姜」「唐辛子」をあしらい完成です。
夏の厨房・台所は地獄のような暑さですが、これなら火の前に立つのは僅かな時間ですみます。
スタミナ系がお好みでしたら肉を焼く段階で「大蒜」を投入するのもありだと思いますし、その他のバリエーションも考えられそうです。
美味しくて栄養のあるものをしっかり食べて、睡眠も充分に摂る。
こうして免疫力を高めることが、一番の元気の源だと考えます。
2022.07.01
異例のスピードで梅雨明けした関東地方。
いよいよ夏本番です!
厳しい暑さが続きそうですが、夏野菜も最盛期を迎えます。
お肉の前にたっぷりの野菜を召し上がっていただくことで、
厳選した素材の仕入れ、研究・経験を積み重ねてきた火入れ方法も勿論大切にしておりますが、
「良薬口に苦し」という諺があり、
最盛期を迎える、地物を中心としたたっぷりの夏野菜と共に、
黒毛和牛を、存分にお愉しみいた
今年こそ、いつもの盛夏となりますように!
2022.06.01
ラグタイムでは、「牛トレーサビリティ制度」に基づき、お出しする牛肉の、出生から消費者に供給されるまでの間の生産履歴情報に紐づく「個体識別番号」をお客様にお伝えしております。
生産履歴情報を調べることができるサイトは下記です。
https://www.id.nlbc.go.jp/CattleSearch/search/agreement
ちなみに昨日の牛肉は「1600771215」でした。
この制度は、もともとはBSE(狂牛病)対策として平成15年に施行された法律に基づき、誰がどのような管理をしてきた牛なのかを明確にするためのものです。BSEの原因が、病死した動物の肉骨粉等、出どころの不明確な飼料であることの可能性を視野に入れた制度であったと考えられます。現在では平成21年1月に確認された牛を最後に、国内で生まれた牛でのBSE発生の報告はありませんし、そもそも高い評価を受けることを目的に肥育される和牛は、飼料に繊細な神経を使わなければならないものなので、そういった心配はないと考えられます。
食べる側にとっては生産履歴情報を把握できるのはとても安心なことですし、生年月日から肥育月数を計算できるという点でも、この制度は非常に重宝です。
というのも、「牛」は種別を問わず、国内外で経験則に基づき、肥育月数が30ヶ月齢を超えると味が良くなるといわれているからです。
味の良し悪しというのは相対評価なので数値化するのは困難である上、黒毛和牛は24ヶ月齢を超えると体重が増えにくいことから、コロナ禍直前の和牛の供給不足が続いていた時代は、30ヶ月齢超の「牛」を探すのは難しいことでした。肥育農家にしてみれば「等級」✕「重量」が収入に繋がるわけですからこれは当然のことです。コロナ禍の現在では軒並み「30ヶ月齢超」という状態になっております。
ラグタイムではこれまた経験則に基づき、仕入先に「30ヶ月齢超」「A5」「雌」の3条件をお願いしておりますが、このうちの2条件はこの制度によって明白になります。
また「個体識別番号」をお伝えすると、お客様の頭の中で、生き物としての「牛」と、料理としての「お肉」が結びつくということもあるようです。日本の食文化にあっては、仏教伝来以降、良い意味で意図的に生き物と食べ物とを切り離して考える傾向があるように思います。美しい文化であり誇りに思う一方、我々人間は、他の動植物の生命を頂戴して生きているのも事実です。牛に限らず野菜・果物にいたるまで、もとの姿に思いを馳せ、感謝してできるだけ無駄のないように、また少しでも美味しく召し上がっていただけるような努力と工夫を重ねてまいります。
2022.05.01
沖縄民謡の一つである「てぃんさぐぬ花」の歌を、子どもの頃から何度か耳にしたことはありましたが、
歌の背景や歌詞の意味について知る機会は、今迄ありませんでした。
十数年前に久米島に移住されたご夫妻が、先日久しぶりにお食事に来てくださり、食後に奥様がご自身の
“さんしん”で、この歌を弾きがたりされました。
曲の始めに、
「てぃんさぐは、ホウセンカのことで、ホウセンカの花の色を爪に染める様に、親の言うことを心に
染めなさいっていう歌なんですよ。」
と、優しく語られている姿が印象的でした。
生まれ故郷が沖縄ではない、私達より下の世代のその方が、移住された土地に伝わる民謡を学ばれ、他県で暮らす私達に伝えてくださったことが、とても感慨深く思えました。
あとで調べてみると、「てぃんさぐぬ花」は10番迄あって、どの歌詞も、今生きている私達にも通じる教え(導き) のようなものばかりでした。
民衆の生活の中から自然に発生し、土地の文化や言い伝えを人から人へと継承する”民謡”は、料理の”味”と 通じるように感じました。
この神奈川の民謡についても、調べてみたくなりました。
2022.04.01
地元の桜が満開を迎えると同時に、エントランスのローズマリーも
新芽が青々と芽吹き始めています。
春です。
あとひと月もするかしないうちに、毎年「押し売り」や「スペシャ
段ボール箱いっぱいの”こごみ”や”蕗の薹”など春のご馳走です
20年来のお付き合いだったその送り主、林檎農家の主は、今年
先日、お客様と林檎の花のお話しになり、私達も林檎畑には何度か
林檎の花が咲いている景色をまだ
信州の春は、もう少し先でしょうか。
今年は林檎の花の季節に、夜間瀬を訪れたいものです。
地元の直売所では筍、こごみ、タラの芽、アスパラ、のらぼう菜など春野菜のラインナップが
顔を揃え始めています。
これらの野菜達の苦味、えぐ味は、冬の間に蓄積された体内の老廃物や毒素を排出する働きを
持っています。
ほどよく摂り入れながら、季節の移ろいを感じていただける料理を心がけてまいります。