2018.03.01
あるトップアスリートの手記の中に、穀類を、かまどにくべる薪に例えている文章がありました。朝や昼、練習前や試合前は、かまどにたくさんの薪をくべて燃焼させる必要があるが、終わった後、火を落としたかまどに薪をくべても燃え残るだけだと。また一日の終わりにはあちこちダメージを受けた身体(筋肉や内臓や皮膚など)を、蛋白質を摂取することでリペアするべきだと。
この話には非常に合理性を感じ、その時から、夕飯時に主食(穀類/炭水化物/糖質)をなるべく食べないように心掛けております。(時折食べてしまいますし、朝昼はしっかり食べております。)
ご飯が大好きなので、はじめのうちはちょっと辛かったんですが、職業柄夕飯の時間も遅いですし、アルコールも大好き。また父も祖父も糖尿病だったので我慢して続けてみました。慣れると快適で、体重も減り、お腹周りもスッキリして、何より体調全般が格段に良くなり(特に睡眠の質が向上したように思います。)本当に快適な毎日が送れています。
人間を含む霊長類としての歴史は6000万年と言われており、その中で穀類の摂取の歴史は古くても約1万年、広く一般の人が日常的に食べられるようになったのはもっと最近になってからのことです。それまで狩猟で得た獣肉や魚、あるいは草花や木の実を食べて生活していた時期が長いので、人間の身体は進化の過程において、穀類の消化、代謝にまだ慣れていないという話も聞いたことがあります。しかしながら大変美味で、かつ保存がきき、天候不順や狩猟のできない時にも飢えずにすむ優れものですし、即効性の非常に高いエネルギー源であるため、人間の身体の進化よりも速いスピードで普及が進み、今日に至っているものと思われます。
そこで今の自分がラグタイムでディナーを食べるとしたら、こんなふうに食べるのもありかと思い、昨年メニュー改定の際に作ったのが、サラダとスープとお肉のみでシンプルに構成する『セット』です。
もちろん人類の叡智ともいうべき穀類を食べることを否定するつもりはありませんし、全て揃っていてバランスのとれたコースがラグタイムとしても一押しではありますが、このようなスタイルがあってもいいのでは?という一つのご提案です。またお肉の増量をしていただいたり、前菜やお食事・デザート・コーヒーなど必要なものを必要な数だけ追加することもできますので、予約時にカスタマイズできるのもセットの利点です。単品単価はコース、セット共に同じに設定しております。初めての店では、ヴォリュームや内容がイメージしづらいのでコースを注文するのが無難かもしれません。しかし二回目以降のご来店の際は、営業日誌にて全ての記録を保存してありますので、一回目の記録を元にご予約時にご相談させていただきながら、よりご要望に沿ったスタイルでお食事を愉しんでいただけるのではないかと考えております。(まだまだAIには負けていられません!)これも先月書かせていただきました完全予約制の利点かと存じますので、お申し付けくだされば幸いです。
2018.02.01
先月で、ラグタイムは23周年を迎えました。
創業当時は思いも寄らずに、9年前から試み始めました「完全予約制」ですが、今でこそお客様にも
だいぶご理解をいただいておりますが、当初は不便に感じられた方も随分いらっしゃったことと
思います。
ラグタイムの「完全予約制」のコンセプトは、"お客様を出来る限りお待たせしないことと、お客様毎の
オーダーメイド ” です。
お絞りのタオルを巻いたり、ジャガイモの面取りの様な細かい作業一つにいたしましても、お客様の
お顔を思い浮かべながらの準備や仕込みですから、一層気持ちがこもります。
ご予約の際に、どんな日にご利用いただくのか、苦手なものやアレルギーなどまで事前にお聞きするのも
この一環です。
小さな店で、二人で切り盛りいたします中から生まれました、苦肉の策ともいうべきこの「完全予約制」で、より和やかなお食事の時間を過ごしていただくことが出来ますように、日々お客様への思いを馳せながら、仕込みや準備に勤しんでおります。
2018.01.01
旧年中はご愛顧をいただきまして、誠にありがとうございました。
・・・・・・・S / 6,840円・M / 8,640円・L / 10,800円
・季節野菜のサラダ
・スープ
・ローストビーフ
・ライス又はパン
・プチデザート
・コーヒー
お正月 ローストビーフをメインにしたおまかせののコース[1/1〜1/5]
・・・・・・・10,800円
・季節野菜のサラダ
・前菜
・スープ
・ローストビーフ
・お食事
(パン・ライス・ガーリックライス・カレー・焼きカレー・お茶漬けの中からお選び頂けます)
・デザート
・コーヒー
(価格は一名様分、税込)
1/1〜1/5は、上記コースと 通常メニューのステーキのコースのみの営業とさせていただきます。
また1/7迄、ランチ限定メニューはお休みさせていただきます。
1/9より平常通り営業いたします。
本年もよろしくお願い申し上げます。 2018年 元旦
2017.12.01
今年も残すところ30日。
本格的な寒さと共に、一年の締めくくりの季節に向かいます。
大切な方と過ごされる和やかな時間。ラグタイムがお役に立てれば、幸いに存じます。
先月ご案内申し上げましたローストビーフは、お正月元旦からの5日間、一名様から召し上がって
いただけるコースをご用意しております。
併せてご案内させていただきます。
・・・・・・・S / 6,840円・M / 8,640円・L / 10,800円
・季節野菜のサラダ
・スープ
・ローストビーフ
・ライス又はパン
・プチデザート
・コーヒー
お正月 ローストビーフをメインにしたおまかせののコース[1/1〜1/5]
・・・・・・・10,800円
・季節野菜のサラダ
・前菜
・スープ
・ローストビーフ
・お食事
(パン・ライス・ガーリックライス・カレー・焼きカレー・お茶漬けの中からお選び頂けます)
・デザート
・コーヒー
(価格は1名様分、税込)
※ この期間(1/1〜1/5)は、上記コースと 通常メニューのステーキのコースのみの営業とさせていただきます。
ホームパーティや、おせちの一品にいかがですか。 冷凍でのご配送も承ります。
800gより………………………… ¥3,800/100g
1kgより…………………………… ¥3,500/100g
1.2kgより …………………………¥3,200/100g
※ 12/22〜1/7の期間、ランチメニューはお休みさせていただきます。
※ 年末年始は休まず営業致します。ご予約お待ちしております。
2017.11.01
10月の後半は、二週続けて台風に見舞われましたが、
気温の変化も激しかったせいか、木々達は美しく紅葉し始めています。
冬支度とともに恒例、ローストビーフのご案内です。
ローストビーフ本来の味わいは『ほんのり温かい~少し熱いくらい』の温度で、厚めに切り分けてこそ
楽しめるものだと思います。温度によって信じられないほど味わいが変わるものです。どんなに上質の
ローストビーフであっても、冷蔵庫の温度に近い状態ではコールドビーフと呼ばれる別物です。
この『ほんのり温かい~少し熱いくらい』を作り出すために、ご予約の時間から逆算して焼き始める半日
程前からお肉を室温に戻し、二時間前に塩胡椒を摺り込み、低温のオーヴンで香味野菜やハーブとともに
じっくりと焼き上げ、焼き時間と同じだけ温かいところで休ませてから、召し上がっていただく直前に切り分けております。
ステーキと双璧をなすフラッグシップともいえるローストビーフですが、600g以上のご注文に限定させて
いただいておりますので、大人数が集まるこの季節にこそ是非ご利用いただきたいと思っております。
また、クリスマスには二名様からでも召し上がっていただける特別なコースもご用意させていただきます。
寒さが増してくるこの季節に、ラグタイムの温かいローストビーフをご賞味いただければ
幸いでございます。
・・・・・・・S / 8,640円・M / 9,600円・L / 11,000円
・かにクリームコロッケ
・オニオングラタンスープ
・季節野菜のサラダ
・ローストビーフ
・ライス又はパン
・クリスマスのデザート
・コーヒー
(価格は1名様分、税込)
ホームパーティや、おせちの一品にいかがですか。 大晦日、元旦も承っております。
お使いになるお時間に合わせて焼きたてをご用意致します。
また冷凍でのご配送も承ります。
解凍後、『ほんのり温かい~少し熱いくらい』の温度を作り出す方法もご案内いたします。
800gより………………………… ¥3,800/100g
1kgより…………………………… ¥3,500/100g
1.2kgより …………………………¥3,200/100g
※ 12/22〜12/24の期間はクリスマスディナーのみの営業とさせていただきます。
※ 上記期間以外でも、状況に応じてクリスマスディナーをご用意させていただきます。ご相談下さい。
※ 年末年始は休まず営業致します。ご予約お待ちしております。
2017.10.01
先日、お客様に「やっぱりお宅のステーキはおいしいね!牛肉は『国産牛』に限るよ!」と言っていただきました。お褒めのお言葉に嬉しくなりましたが、あわてて「確かに国内で生産されているので、広い意味では『国産牛』ということにもなりますが、うちの牛肉は『和牛』です。」とご説明申し上げました。『和牛』と『国産牛』の概念をよく認識されていない方が意外に多いのだなぁと思い、自分でも改めて見直してみました。
『和牛』とは、明治時代になって牛肉を食べるようになった日本人が、日本古来の牛に外国産のさまざまな品種を交配して品種改良を行い、日本人の嗜好にあった品種を作り出してきた品種名です。現在では、肉専用種として指定された4つの牛の品種(黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種)、または4品種間の交雑牛のみがこれに当たります。
一方『国産牛』とは、品種に関係なく全肥育期間の半分以上を日本国内で肥育・生産された牛の総称です。小売店などで『国産牛』という表示のあるものは、『和牛』なら必ず『和牛』と表示されていますので、国内で生産されていて『和牛』ではないもの。すなわち乳牛(ホルスタイン種)あるいは、和牛と乳牛の掛け合わせである交雑種の可能性が非常に高いことになります。乳牛は質の良い牛乳を大量に生産できるように品種改良され、またそのように肥育されている品種ですので、輸入牛も含め、肉用種の肉の方が、多少硬かったり、風味にくせがあったとしても、肉としての味があって美味しいと思います。逆に乳牛は安価で強い個性も少なく、あっさりとしているので、強い味付けの料理などにはよいかもしれません。
またややこしいことですが、最近では、和牛の種牛が海外に流出し、アメリカやオーストラリアで『WAGYU』として生産されるという動きもあるようです。さしずめ『国産牛』ではない『和牛』といったところでしょうか。まだ国内の市場ではあまり見かけませんし、あっても非常に高価格だと聞いておりますが、東南アジアなどでは、非常に安価で大人気を博しているとの情報もあります。
ラグタイムでは、大切な方と過ごしていただく時間に、とっておきのお肉を召し上がっていただく為に、黒毛和種の中でもA5ランクの雌の和牛のみを、信頼できる芝浦の屠畜場の業者さんから長年に渡り仕入れております。和牛本来の甘みや風味をお愉しみ下さい。
2018年版、ラグタイムオリジナルカレンダーが今年も出来上がりました。
500個限定で、ご来店のお客様にもれなく差し上げます。(一世帯一つとさせていただきます。)
なくなり次第終了とさせていただきますので、ご了承下さい。
2017.09.01
ラグタイムでは、お客様にお召し上がりいただく野菜に、お肉と同じくらいに力を注いでおります。
サラダやスープも勿論ですが、お肉を召し上がっていただく際に本当に相性の良い野菜の王様は、何と言っても付け合わせにしております玉葱とじゃがいもではないかと思います。そしてこの時期、玉葱とじゃがいもが最も美味しいと感じる季節を迎えてきます。
2015年の5月にも述べました『新もの』が終わり、玉葱は6月下旬から淡路の『晩生』が出回り始め、お盆過ぎには王者北海道の『ひねもの』が出始めます。じゃがいもは5月下旬から静岡の三方原の『男爵』が出回り始め、8月に入ると、こちらもやはり王者北海道の『ひねもの』の『男爵』が出始めます。中でも今金町の『男爵』は特に秀逸で、手に入る時には、ラグタイムでは必ず今金町産を指定して仕入れます。山岳地帯であるため水質が良く、寒暖の差も大きいので昔から質の良いじゃがいもの生産地でしたが、他の北海道の生産地に比較し、山岳地帯ゆえに重機を使った大規模農業がやり難く、スケールメリットに欠けるのが悩みの種だったそうです。そこで収穫後にコストをかけて風に当て、余計な水分を飛ばして旨味やデンプンの含有比率を高くしたり、生産者同士で品質チェックを行い、質のよくない物を除外するシステムを構築したりして高品質化を徹底的に図り、今日のステイタスを獲得したそうです。弱点をみごとに逆手に取って成功した事例です。
これを聞いて思い出されるのがシャンパーニュやシャブリのワインです。
パリ近郊のワイン産地であったため、かつては特に努力や工夫をしないでも飛ぶように売れていましたが、鉄道や道路が整備されるにつれ、ローヌやラングドックといった南部地方の、安価で品質の良いワインにパリ市民の需要は流れていったそうです。危機感を抱いたシャンパーニュやシャブリの生産者達は、差別化を図り、高品質路線に特化し、今日のステイタスを築きこの危機を乗り切ったと言われています。
夫婦二人で住宅地の片隅で営むラグタイムも、今金やシャンパーニュ・シャブリの理念を見習い、小規模家族経営・この立地条件を生かした、よりよい店創りに励んでまいりたいと思っております。
来年の春にかけ少しずつ水分を失いながら、旨味を増していく北海道の玉葱とじゃがいもの味わいを、お肉と共にお愉しみ下さいませ。
2017.08.01
このところの暑さでは、日中窓を閉め切ってエアコンを付けている日も多いことと思います。
5月の終わりに、ある故人の方を偲んで、今は姪御さんが住んでいる、その故人の方のお宅を尋ねた時のことです。
まだ夏が訪れる前でしたので、居間の窓も開け放たれていて、気持ちの良い風が通り抜けていました。
話がはずんでいたその時、窓辺に吊るされていた風鈴が、タイミングよく「チリンチリ−ン」と元気に鳴りました。すると姪御さんの一人が「あっ、〇〇も笑ってるよ。」と言ったのです。
とても素敵な言葉でした。
今まで風鈴の音をそんな風に聴いたことはありませんでした。暑い夏にどこからか風鈴の音が聞こえてくると、涼し気だなあと感じたり、風が強い時には耳障りにさえ感じるくらいでした。
自分にも、誰かの言葉の様に聴こえるのか試してみたくなり、久しぶりに風鈴を買ってみました。
早速食卓の近くの窓辺に吊るしてみると、確かに朝は「おはよう」、帰宅時には「おかえり」、夜は「おやすみ」、時には「そうそう」と相槌を打ってくれたり、「頑張れ!」と励ましてもくれます。
自分に都合よく聴こえるなんて空耳のようでもありますが、それは、今は言葉を交わすことが出来ない人との、心の中の会話のように思えます。勿論風が無いと、一日何も言わない日もあります。
雨の日と風が強い日には、部屋の中へ風鈴を入れます。
朝夕の涼しい時間を見計らって、窓を開けて風鈴の音に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
今丁度、わが家の風鈴が「いいね!」と言ってくれました。
2017.07.01
ラグタイムでは、ステーキの醤油を二種類ご用意しております。
まず極上和牛用。以前は、脂も旨味も強い肉の味に負けないような強い醤油を求め、松本の『再仕込み、甘露醤油』を取り寄せて使っておりました。今は少し考えが変わり、肉の脂も旨味も際立たせるために自家製の赤ワイン醤油を使用しております。ハウスワインと、そのひとつ上のキュヴェをオンリストしております、チリの名門ワイナリー『エラスリス』の日常キュヴェの赤ワインを煮切り、これに遺伝子組換えでない丸大豆100%でつくられた、愛知県のメーカーの丸大豆醤油を加えております。赤ワインと牛肉のステーキの相性の良さは味だけではなく、栄養学の観点からも周知の事実ですが、煮切ってありますのでアルコールを召し上がらない方にもこの相性を楽しんでいただくことができますし、赤ワインを召し上がる方には、その繋ぎ役として、お互いをより高め合えるように活躍してくれます。
次に特撰和牛用。こちらも自家製の、牛の背脂玉葱醤油です。まず煮溶かした背脂で玉葱を一時間炒め、日本酒を加えて煮切り、先の丸大豆醤油を入れて調味しております。特撰和牛はもも肉ですので特有の優しい甘味を持ちますが、極上和牛に比べると脂も味もあっさりとしているので、旨味と脂を附加するのが狙いです。同じくもも肉を使用しておりますローストビーフも、この醤油を温めてソースとしております。
これらの醤油に加え、塩胡椒や、ご好評いただいております『山椒の塩漬け』(今年のものが浸け上がりました)と共に、和牛の味わいをお愉しみ下さい。
2017.06.01
ラグタイムの極上和牛は、A5ランクのサーロインをぐるむき(脂身と筋を取り払った状態)にして使っております。しかしこの取り払った部分にも上質な肉が食い込んで織り混ざっておりますので、この部分は丁寧に取り分け、佃煮にします。
まず沸騰したお湯の中に刻んだこの肉を投じ入れ、さっと湯がいてざるにあけます。この工程で肉の表面のたんぱく質を固めて旨味を閉じ込めることができます。そこへ同量の冷たい水をかけ流します。こうすることで、余計な油分や血や汚れをしっかりと洗い流すことができるので、あくをとらずにすみますし、味を含ませる為に一度温度を下げるという狙いもあります。よく水気を切ったこの肉に醤油、味醂、酒、じゃこ、山椒、刻んだ生姜を加えて炊き込んでいきます。沸騰してから最初の30分位は、材料がことこと動いて煮崩れるのを防ぎ、煮汁を対流で全体に回す目的で『落としぶた』をします。その後は『落としぶた』をはずし火を弱め、長時間をかけて水分を飛ばしながら、ゆっくり味を含ませるように煮詰めて行きます。ほぼ水分が蒸発しきると、煮汁が油分だけの状態になりますので、もう一度ざるにあけ、油をきり、冷まして完成です。
この佃煮は、コースのお食事の『お茶漬け』に使用しております。熱々のごはんの上にこの佃煮を乗せ、擂り胡麻と青葱を添え、微量の塩こぶを効かせた熱い焙じ茶をかけて召し上がっていただきます。また冷凍でお土産にもしておりますので、ご家庭でもこの『お茶漬け』はもとよりおつまみやおにぎりなどでお楽しみいただけます。塩分濃度の高い醤油が凍らないように、この佃煮も冷凍であっても使う分だけをばらして取り出すことができるので重宝です。
尚、平成16年より6月29日は「佃煮の日」に制定されたそうです。