RAGTIME ラグタイム

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2018.04.01

テーブルナイフ

先日、大変尊敬している料理人の方の手記を読む機会がありました。

同じ飲食店の経営者として、一行一行に実感がわき、筆の端々に共感を覚え、勉強になるだけでなく、非常に愉しく、有意義な時間でした。中でも特に印象に残ったのが、毎日開店前にお客様の席にナイフフォークをセッティングする際、その都度テーブルナイフを自ら砥ぐという話でした。仕込みをはじめ、色々な調理工程を若い従業員に任せることはあっても、この作業だけは必ず自分で行っていらっしゃるとのことでした。驚きましたが、理由は明快で、仕入れ業者との人間関係から始まり、保存したり、適切な下処理を施したり、何時間もかけて温度管理をし、培ってきた技術を駆使して調理することで完成した一皿を、切れないナイフでズタズタにしてしまってはすべて台無しだからです。板前割烹やカウンターのお寿司屋さんでいただく刺身がとびきり美味しいのは、板前さんが腐心して包丁を砥ぎ、極限まで細胞を潰さず、余計な摩擦による温度変化もなく、高い技術で切った状態だからです。

 

ラグタイムでもステーキは包丁を入れてお出ししているので、見た目のためにも味のためにも、日々腐心して包丁を砥いでおります。しかしローストビーフに関してはこのシェフの読みが正に的中。折しも、その何日か前にローストビーフを召し上がっていただいたお子さんに、『本当に美味しかったけどちょっと切るのが大変だった。』と言われるシーンがありました。その時は、『子どもは歯に絹着せずはっきりものを言うので可愛いなぁ。まだ小さいから大変だったのかな?もう少し細かく切ってあげればよかったかな?でもそうすると迫力に欠けるしなぁ。』などと漠然と思っておりましたが、そのお子さんが言ってくれたことが本質だったんだと、この時はっきりと確信しました。

 

日本製の品質の高い物を探しましたが、なかなか求める物には巡り会えませんでした。欧米や南米のメーカーに対象を広げてみると、デザインもよく、切れ味の鋭い、しかも砥がなくても切れ味を維持する加工の施されたスグレモノと出会うことができました。やはりテーブルにおいて、肉を切って食べる文化が古くからあるからなのでしょう。一般的な日本の食文化にあって、切れ味が求められるのは、テーブルに並ぶ手前まで、ということなのかもしれません。

ローストビーフを更に美味しく、スマートに召し上がっていただけること請け合いです。

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